No Rainbows, No Ruby Slippers, But a Pen

本ブログでは研究関連で読んでいる書籍、(新作)映画作品の紹介、日々の考察を中心に共有していきます。また、漫画、アニメ、小説、写真などについても感想などを述べていけたらと思っています。

映画

誰に感情移入すればいいのか〜『インサイド・ヘッド』(2015年)

ピート・ドクター監督の『インサイド・ヘッド』(Inside Out、2015年)を公開日に観てきたんだが、感想を書こうと思って色々考えていたら、いつの間にか時間が経ってしまったので、気になった点だけ書いておきたい。 「インサイド・ヘッド」ストーリー予告 -…

ウィリアム・フォークナーに関する参考文献

今日の勉強会は、ウィリアム・フォークナーの文学作品について修士論文を執筆しているM2の発表だった。文学と映画の関係について私自身あまり詳しくないが、発表内容がとても分かりやすく、興味深い情報をたくさん得られた。 紹介されていた参考文献を記して…

The Language of Love (Dir. Laura Scrivano)について

ショートフィルムを毎日一本ずつ観ているんですが、最近面白いと思ったものにThe Language of Loveという作品がある。 THE LANGUAGE OF LOVE 'Amazing' Ellen ... フランス語のテストの最中、17歳の少年チャーリー(Kim Ho)は彼自身と友人のサムに密…

『ベイマックス』(ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ、2014)についての覚書

『ベイマックス』本予告編 - YouTube ディズニーの最新作『ベイマックス』を観てきた。率直な感想を言えば、エピソードを詰め込み過ぎて、一貫した話の筋立てを組み立てられていない印象を受けた。日本公開版の予告編と実際の映画内容が懸け離れているという…

『小野寺の弟・小野寺の姉』(西田征史、2014年):向井理の演技について思うこと

映画「小野寺の弟・小野寺の姉」予告編 - YouTube 西田征史監督・脚本の『小野寺の弟・小野寺の姉』(2014年)が本日から公開されている。公開初日、映画館で初回を観てきたのだが、姉弟を演じる片桐はいりと向井理のやりとりに心温まる作品だ。映画が終わる…

新しい論文を発表しました。

ホーム・ムーヴィーに関する修士論文の第三章を改稿した論文を発表しました。 CineMagaziNet! no.18 Yutaka Kubo The Function of the Semi-Private Sphere in Home Moviemaking and Exhibition 私的空間と公的空間という二元論的な空間の枠組みに当てはまら…

映画『STAND BY ME ドラえもん』

"Doraemon should never be made into 3D." This was my first thought when I saw the trailer of STAND BY ME Doraemon in February. And now I regret that I had ever thought that way. This movie will make you laugh through tears. 映画『STAND BY …

映画『GODZILLA』(2014)

「GODZILLA ゴジラ」予告3 - YouTube 公開中の『GODZILLA』(ギャレス・エドワース、2014)を観てきた。TOHO CINEMASへ映画を見に行くたびにずいぶん前から予告編が流れていたこともあり、ずっと気になっていた作品。 今日は映画1100円の日だったので、…

映画『マレフィセント』(2014):おでこにキスでもキスはキス(*ネタバレあり)

ロバート・ストロンバーグ監督の『マレフィセント』(Meleficent、2014)を3D・DOLBY-ATMOSで観てきた。1959年公開のクライド・ジェロニミ監督による『眠れる森の美女』に登場する「魔女」マレフィセントを中心人物とし、マレフィセントが王女オーロラにかけ…

映画の色について:木下恵介『カルメン故郷に帰る』

富士フイルムが国産カラーフィルムの発明に勤しんでいたころ、日本映画監督協会は押し寄せる外国カラー映画の情勢に立ち向かう術を考える必要にせめられていた。そこで、富士フイルムから国産カラー映画の製作を持ちかけられた時、当時理事であった小津安二…

映画の色について:テクニカラー、アグファカラー、フジカラー

木下恵介『カルメン故郷に帰る』(1951)に関する先行研究を読んでいると、映画の色について面白い比較があったので以下にまとめてみたい。 戦後、日本で最初に公開されたアメリカのテクニカラー映画は、ウォルター・ラングの『ステート・フェア』(1945)である…

Postwar Japan in Film: 8th week

"Postwar Japan in Film"の第八週目授業では、周防正行『Shall we ダンス?』(1996年)を通して、1980、1990年代の特に団塊世代のサラリーマンブルーや趣味について議論した。 映画の予告編はこちらから。 Shall We Dance? (1996) trailer - YouTube 2004年に…

Postwar Japan in Film: 7th week

"Postwar Japan in Film"の第七週目授業は、伊丹十三『マルサの女』(1987年)を取り上げて、「この映画に登場するヒロインはどのようにして誕生したのか」という問いを中心に議論した。 『マルサの女』を未見の方はこちらから。 マルサの女 ー 伊丹 十三 - …

Postwar Japan in Film: 6th week

今週の"Postwar Japan in Film"の授業は、森田良光の1983年作品『家族ゲーム』(すばる文学賞を受賞した本間洋平の原作は1981年発表)を取り上げて、戦前から戦後にかけての日本の教育システムの変化、そして1980年代、1990年代における教室という空間の変化…

Postwar Japan in Film: 5th week

同志社大学で開講されている"Postwar Japan in Film"も今週で5週目を迎えた。四週目にあたる週は、僕はサンフランシスコへリサーチに行っていたため参加することが出来なかったが、土本典明監督の『水俣 - 患者さんとその世界』(1971年)を上映した。GWのた…

Postwar Japan in Film: 3rd week

"Postwar Japan in Film"第三週目は、小津安二郎の『お早よう』(1959年)の感想を中心に、戦後日本におけるホワイトカラー中流階級(middle-class)のconsumerismとmidle-class consciounessについて議論した。1955年以降、日本の経済成長期に日本家族にとっ…

Postwar Japan in Film: 2nd week

"Postwar Japan in Film"の第二週二回目の授業は、今村昌平『豚と軍艦』(1961年)の感想を中心とした議論を行なった。1945年から1952年まで続いたthe Occupationの後、日本映画は戦後日本社会における日本人とアメリカ人をどのように表象したのか。 授業で…

今村昌平『豚と軍艦』(1961)

今日は同志社大学にて"Postwar Japan in Film"の第二週一回目の授業を受けてきた。今週から月曜日は映画を見て、火曜日はディスカッションをする。その第一回目として、今日は今村昌平監督の『豚と軍艦』(1961)を視聴した。 Pigs And Battleships | Trailer …