No Rainbows, No Ruby Slippers, But a Pen

本ブログでは研究関連で読んでいる書籍、(新作)映画作品の紹介、日々の考察を中心に共有していきます。また、漫画、アニメ、小説、写真などについても感想などを述べていけたらと思っています。

アフェクト理論についての文献

ここ10年、20年ほどアフェクト理論(affect theory)に関する議論が盛り上がっており、学際的にもこの理論を援用した論文が多数書かれているようだ。映画研究にもその流れは少しずつ見られる。とは言っても、僕はこの理論についてはまったくの不勉強なので、…

英語論文がReconstruction(16.2)に掲載されました。

去年の3月に提出して、査読はどうなったのか、忘れ去られてしまったんじゃないかと心配していた英語論文が無事に査読を通過し、今月掲載されました。 "Queering Film Location and the Byakkotai: Kinoshita Keisuke's Queer Sensibility and Sekishuncho (1…

Summer Vacation (Hofesh Gadol, dirs. Tal Granit, Sharon Maymon, Israel, 2012)

現在MUBIにアップされているSummer Vacation(Hofesh Gadol、2012)という映画を観た。監督はTal GranitとSharon Maymonで、イスラエル資本の作品。IMDBによれば、2012年から2014年にかけて、イスラエル、アメリカ、ポーランド、フランスの映画祭に出品され…

ダイレクト・シネマとシネマ・ヴェリテの違い

今週読んだ論文のなかで、何度も「ダイレクト・シネマ」という言葉が出てきたので、今回は「ダイレクト・シネマ」と「シネマ・ヴェリテ」についておさらいしたい。定義は両方とも『現代映画用語事典』から抜粋引用する。 読んだ論文 NORNES, Abe Mark. "Mark…

小野智恵『ロバート・アルトマン 即興性のパラドクス ニュー・シネマ時代のスタイル』の参考文献からメモ

研究室の先輩、小野智恵さんが出版された『ロバート・アルトマン 即興性のパラドクス ニュー・シネマ時代のスタイル』をようやく読み終えた。映画技法や音響からアルトマン映画と古典的ハリウッド映画の差異を細かく検証していく試みから、とても多くを学ん…

ゼミ用メモ:アニメーション

今週のゼミで、M2が修論中間発表としてアニメーションについて発表するので、今回はそのためのメモ。 ウィンザー・マッケイから二本。 「恐竜ガーティー」(1914) Gertie the Dinosaur (1914) - World's 1st Keyframe Animation Cartoon - Winsor McCay 「…

『逢びき』(Brief Encounter, David Lean, 1945)

今週のゼミ発表はDavid Leanの『逢びき』が議論の対象となるので、予習のため情報収集をしておく。原作はノエル・カワード(Noel Coward)の『静物画』。 ローラを捉えたキャメラが次第に傾いていくところは毎回ぐっとくる。 Brief Encounter [DVD] 出版社/…

東京レズビアン&ゲイ国際映画祭→レインボー・リール東京

25年目を迎えた東京レズビアン&ゲイ国際映画祭が、今年から名称を「レインボー・リール東京」へ変更した。 今年こそ東京レズビアン&ゲイ国際映画祭へ行こうと思い情報を探していたんだが、まったく何も引っかからずおかしいなーと思っていたら、名前が変わ…

紙屋牧子「『ハナコサン』(一九四三年、マキノ正博)の両義性:「明朗」な戦争プロパガンダ映画」

今週の映画学授業ではマキノ正博の『ハナコサン』(1943年2月25日公開、東宝)について論じられる予定で、リーディング課題の一つに紙屋牧子さんの論文「『ハナコサン』(一九四三年、マキノ正博)の両義性:「明朗」な戦争プロパガンダ映画」が挙げられてい…

1920年代~1930年代に製作されたAnimated American Shorts(アメリカのアニメーション作品)

今学期は同志社大学にて"Film and Animation in Translation: Hollywood and Japan"という授業を聴講している。明日は1920年代から1930年代に製作されたアメリカのアニメーション・ショーツについて議論するらしく、先生から早速YouTubeのリンクを共有しても…

映画研究書メモ

近年は映画研究書ラッシュで、僕が所属しているゼミの先輩方の単著も刊行されている。直近で読もうと思っているものをメモがわりに列挙しておく。 映画と移民 在米日系移民の映画受容とアイデンティティ 作者: 板倉史明 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 201…

第11回日本映画学会プロシーディングス

論文の締切続きのためブログの更新ができていませんが、昨年12月に第11会日本映画学会で行った口頭発表のプロシーディングスが発刊されました。 http://jscs.h.kyoto-u.ac.jp/proceedings-zenkoku-11.pdf 僕の発表は、「『カルメン故郷に帰る』と『カルメン…

やっぱり我が家は最高!〜山田洋次監督『家族はつらいよ』

映画館で腹を抱えて笑うには、少しばかりの勇気がいる。外国のコメディ映画を見ていたとして、字幕が追いつく前にジョークで笑ってしまって周りのお客さんにうざがられる、なんて話はよく聞く。僕が笑うと怒られるかなと、いつも気を使ってしまうのが熟年夫…

A Random Thought on 3.11

Five years ago today, I was staying at my friends Jon and Nikki's apartment for their wedding. Feeling something weird in my stomach, I woke up in the middle of night just before Nikki walked in to tell me what was happening in Japan at th…

『カルメン故郷に帰る』ロケ地の現在についてーー駅、小学校、カルメンの木

去年の日本映画学会で木下惠介監督の『カルメン故郷に帰る』について口頭発表してから、ずっとこの映画について考えている。 『カルメン故郷に帰る』が公開されたのは1951年で、撮影は1950年だった。撮影から役66年経った今、ロケ地はどんな感じになっている…

論文掲載のお知らせ

昨年の3月末に提出し、査読再審査などを経て掲載可となった論文がようやく刊行されました。 「切り返し編集による男性間の親密性表象--木下惠介『海の花火』をクィア映画として読む--」『人間・環境学』第24巻(京都大学大学院 人間・環境学研究科、2015) …

「キャンプとゲイの感受性について」Part 2("Camp and the Gay Sensibility" p.41)

今回はPart 1の続きで、「皮肉」(irony)について。 ------------------- 皮肉はキャンプの主題(subject matter)である。ここでいう皮肉とは、個人あるいはモノと文脈あるいは関連の間における、非常にちぐはぐした対照すべてを指す。もっとも不調和な対…

「キャンプとゲイの感受性について」Part 1("Camp and the Gay Sensibility" p.40-41)

レズビアン・ゲイ・クィア映画に関する文献を読んでいると、「キャンプ(camp)」という言葉をよく見かける。このキャンプと一緒に「ゲイの感受性(the gay sensibility)」という言葉も頻出するが、「ゲイの感受性」とは一体なんのこっちゃという反応があっ…

「天女の口づけーー『お嬢さん乾杯!』における原節子」『ユリイカ』2016年2月号

本日発売の『ユリイカ』2016年2月号「特集*原節子と<昭和>の風景」に寄稿をさせていただきました。 久保豊「天女の口づけーー『お嬢さん乾杯!』における原節子」p.155-163 木下惠介監督の『お嬢さん乾杯!』において、「なぜ男性主人公が原節子演じるヒ…

Futurelearn Courses

D1の終わり頃から、Futurelearnの授業をときどき受講している。無料のオンラインコースなので、英語の練習になるだけでなく、京都大学の授業だけでは得られない情報のソースを見つける機会として活用している。 今週と来週からいくつか授業を取ろうと考えて…

クィア映画とは何か? Part 2(Queer Images, p. 10~12)

前回に引き続き、今回も「クィア映画とは何か?」という問いについてBenshoffとGriffinのQueer Imagesを使って復習したい。 クィア映画を定義するための第三の視点は、観客性(spectatorship)の問題である。この視点に従うならば、クィア映画とはレズビアン…

クィア映画とは何か? Part 1(Queer Images, p. 9~10)

クィア映画と一言で表しても、実際のところ、それがどういう映画を指すのかを説明するのは容易ではない。日本映画史におけるクィア映画を研究しようと考えても、そもそもクィア映画がなんなのかを知らなければ、良い発見ができない可能性が(かなり)高い。…

論文校正についてのメモ

今日、査読に通った論文の再校を提出した。 再校は初校で訂正した部分を確認する程度で、と書いてあったので本当に確認するしかしなかった。指導教官に「加筆修正しても良かったんだよ」と言われ、正直心が揺らいでしまったが、次の論文のことを考えたいので…

通常運転開始

新年を迎えて、研究も通常運転に戻った。 1月5日締切だった女優論は、無事に完成して脱稿できた。指導教官にアドバイスを多く頂いたおかげで、思考プロセスが鮮明になった。自分の文章能力の低さというか、語彙の少なさを改めて実感したから、たくさん映画評…

2016年はじまりました。

新年明けましておめでとうございます。本年もぼちぼち研究関連など何かしら書き残せたらと思います。 前回も書きましたが、今年の目標は「余裕をもった論文執筆」。これにつきます。 元旦に四つ映画を見たのでメモしときます。 1)『映画ドラえもん 新・のび…

2015年12月購入書籍

2015年もあと三日で終わりですね。来年は博士後期課程3年目なので、いろいろと気合を入れなければならない年になりそうだ。とりあえず来年の目標は、「余裕をもった論文執筆」。 備忘録に、12月に購入した書籍のリストを作りました。 ユリイカ 2016年1月号 …

『映画研究』 第10号への論文掲載のお知らせ

この夏に査読通過した論文が、日本映画学会の『映画研究』第10号に掲載されました。 久保豊「『夕やけ雲』(1956)における木下惠介のクィアな感性 ―― 少年同士の情動表象をめぐって」『映画研究』第10号、2015、44-62. オンラインではこちらから。ぜひご一…

日本映画学会第11回全国大会を終えて

先週末、日本映画学会第11回全国大会で口頭発表を行った。学会発表は、大学院に入ってから今回で4度目だが毎回緊張する。 今回は、学会を終えての反省を書き記しておきたい。 日本映画学会の口頭発表は、発表に25分、質疑応答に10分与えられる。今回の発表原…

日本映画学会第11回全国大会(創立10周年記念大会)のお知らせ

今週の土曜日12月5日、京都大学にて日本映画学会第11回全国大会(創立10周年記念大会)が開催されます。 プログラムはこちらから。 http://jscs.h.kyoto-u.ac.jp/conference2015.pdf 私は「『カルメン故郷に帰る』と『カルメン純情す』におけるカルメン像の…

ゼミ発表は難しい

本日のゼミ発表にて、木下惠介の『カルメン故郷に帰る』(1951)について報告しました。今回はスケジューリングを失敗してしまい、おそらく過去4年で一番ひどいプレゼン内容でした。 カルメン故郷に帰る デジタルリマスター - YouTube 私はゼミ発表の際は必…