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No Rainbows, No Ruby Slippers, But a Pen

本ブログでは研究関連で読んでいる書籍、(新作)映画作品の紹介、日々の考察を中心に共有していきます。また、漫画、アニメ、小説、写真、絵画などについても感想などを述べていけたらと思っています。

今村昌平『豚と軍艦』(1961)

映画

今日は同志社大学にて"Postwar Japan in Film"の第二週一回目の授業を受けてきた。今週から月曜日は映画を見て、火曜日はディスカッションをする。その第一回目として、今日は今村昌平監督の『豚と軍艦』(1961)を視聴した。

 


Pigs And Battleships | Trailer | 1962 | Shôhei Imamura ...

 

現在の日本映画大学の創設者の一人として知られる今村昌平(1926~2006)は、映画監督だけでなく、脚本家やプロデューサーとしても活躍した。1951年に松竹大船撮影所に入社以来(1954年に日活に移籍した)、精力的に映画産業に携わり、カンヌ国際映画祭で二度パルムドール賞を受賞するなど(『楢山節考』1983年; 『うなぎ』1997年)、国内外で彼の才能を認めさせた。国際映画祭での受賞は、日本映画史において彼の名前を後世に残すことになった要因の一つであることは間違いないが、彼の映画作品の魅力は彼の晩年ではなく、『豚と軍艦』をはじめとする60年代の素晴らしい作品によると言って間違いない。

 

『豚と軍艦』は日本映画史において高評価を得ている作品である一方、超高額の製作費を超える興行成績を収めることができず、日活における今村の映画製作を一時的に衰退させた作品でもある。1961年に公開された本作は、1945年から1952年までの連合国軍占領(the Occupation)を経た戦後日本の横須賀における二人の若い男女の生き様を描く。横須賀駐在の米軍の残飯を養豚飼育へ流用し一儲けしようとするやくざ組織に属し、最終的に自滅する欣太(長門裕之)と、欣太や米軍兵に翻弄されつつも、自分の将来を自ら切り開く春子(吉村実子)。コミカルなやり取りも多く、スタンフォード大学の学生も声をあげて笑っていた。また、長回しと短いショットのバランスや独特な俯瞰ショットの使い方もとても興味深い作品である。

 

今村昌平『豚と軍艦』の魅力はなんだろうか。60年代における今村作品の特徴は、映画製作同時代の政治的問題やジェンダー問題を織り込んでいることである。もちろん、映画という大衆芸術が同時代の社会情勢を反映することは不思議ではない。しかし、映画冒頭で「フィクションである」と示しながらも、『豚と軍艦』が描写する戦後日本の低層は日本の歴史研究にとって非常に貴重なテクストであることは間違いない。詳細については明日のディスカッションの感想も含めて別の記事にて説明したい。

 

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