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No Rainbows, No Ruby Slippers, But a Pen

本ブログでは研究関連で読んでいる書籍、(新作)映画作品の紹介、日々の考察を中心に共有していきます。また、漫画、アニメ、小説、写真などについても感想などを述べていけたらと思っています。

The Language of Love (Dir. Laura Scrivano)について

ショートフィルムを毎日一本ずつ観ているんですが、最近面白いと思ったものにThe Language of Loveという作品がある。

 


THE LANGUAGE OF LOVE 'Amazing' Ellen ...

 

フランス語のテストの最中、17歳の少年チャーリー(Kim Ho)は彼自身と友人のサムに密かに寄せる彼の想いを言葉にしようともがく。必死に言葉を探すチャーリーの自問自答が、10分間という短い尺の中でトーキングヘッド・スタイルによって展開される。

 

自分の親友の性格や大好きな趣味などを描写する手紙をフランス語で書く、という試験問題を通してチャーリーは友人のサムに対する想いを整理する。The language of love「愛の言語」と称されるフランス語を使って、男性の友人への親密な感情を表現すること自体に独自性は認められないように思う。

 

だが本作の見所は、主人公がある程度の葛藤と闘いながらも少しずつ友人への気持ちを認識し、彼の母語(であろう)英語で友人との思い出を流暢に語る様子である。カメラは彼が話す様子を固定カメラで撮影し、所々でショットサイズも変化させていく。主人公だけが話すという、一見つまらなさそうな設定だが、入念な演出がなされているのが分かる。たとえば、主人公の体を正面からカメラは捉えているのだが、彼はカメラをまっすぐと見つめて話し続けることはない。彼の視線は画面左側の先にある何かに注がれている。本作を通して時折挿入される友人の横顔を映したショットの挿入は、主人公が見つめている先におそらく友人が座っていることを示唆する。

 

およそ10分間弱の間、友人に対する気持ちを物語る主人公の気持ちが成就するかもしれないという希望が本作最後の4つのショットで提示される。フランス語のテストにようやく言葉を書き始めた主人公をクロースアップで捉えるカメラは、彼がオフスクリーンにいる何かを見つめていることをはっきりと提示する。"J'taime."とチャーリーが言い切ると、男性のぼやけた横顔が提示され、その顔が画面の方へと向かう瞬間、アクションつなぎで一人の少年が後ろを振り返り、視線を送るショットが挿入される。このショットの画面左側には、何者かの肩と後頭部の一部が映っている。最後にチャーリーの顔をクロースアップで収めたショットが再挿入されることで、振り返った少年が友人サムであり、二人の視線は切り返し編集によって交差することになる。

 

もちろん、後頭部と肩しか映っていない人物がチャーリーであるとは断定できないが、彼が本作の主人公である以上、いくぶんかの希望を抱いても良いのはないだろうか。

 

メイキングも必見である。


Making THE LANGUAGE OF LOVE - YouTube