図書館で田嶋一氏の『〈少年〉と〈青年〉の近代日本: 人間形成と教育の社会史』が新刊棚に置かれているのを偶然見つけたので、早速ざっくりだが読んだ。2016年の発売なので博論執筆のときに出会いたかった一冊。
タイトルの通り、「少年」と「青年」という概念が教育の導入や地域慣習などによってどのように形成され、変遷してきたかについて詳細に分析がなされている。僕にとって有益だと思ったのは、本書の後半で『少年世界』、『少年倶楽部』、『キング』といったいわゆる少年雑誌に関するパートだ。少年雑誌はおもちゃ映画と呼ばれる玩具映画の宣伝を掲載する上で重要な媒体であったと考えられる。それゆえに、おもちゃ映画の実践者・受容者にとってこれらの雑誌がどのような意義を持っていたかを考える上で、本書は大きな示唆を与えてくれる可能性があると思った。