No Rainbows, No Ruby Slippers, But a Pen

本ブログでは研究関連で読んでいる書籍、(新作)映画作品の紹介、日々の考察を中心に共有していきます。また、漫画、アニメ、小説、写真などについても感想などを述べていけたらと思っています。

2017年度京都造形芸術大学 卒業展/大学院修了展が開催中(2018/2/10~2/18)

京都造形芸術大学で2017年度の卒業展/大学院修了展が2018年2月10日から18日まで開催されている。2017年9月から僕が造形で教えていた映像史の授業を聴講していた学生から、写真/映像作品を展示します!と連絡をもらったので見に行こう。

 

Kyoto University of Art and Design is holding its Degree Show 2017 from February 10 to 18, 2018. Check out the link below for the details.

 

www.kyoto-art.ac.jp

英単語/英語表現 2017年12月26日

① fall on deaf ears: 耳を傾けてもらえない、顧みられない

"These experiements using nonnaturalistc imagery were the exceptions, however, and in general Sutherland's manifesto fell on deaf ears" (Decherney, p. 117).

 

spin off: (〜を)付随的に生み出す

"Lucas later spun off Catmull's division as the company Pixar, which was then sold to Apple founder Steve Jobs and later became the nimation division of Disney" (Decherney, p. 117).

 

③ de rigueur: 形式上必要で

"It became de rigueur for every fantasy and science fiction film in the late 1980s to have a morphing character"(Decherney, p. 118).

 

④ amorphous: 無定形の、組織のない

"The T-1000 was not depicted as a figure on a computer screen or given an amorphous shape, as in earlier films" (Decherney, pp. 118-119).

 

⑤ judiciously: 賢明に

"There are only forty-seven CGI shots in the movie, but Cameron used them judiciously to give the impression of many more"(Decherney, p.119).

 

⑥ free rein:行動の完全な自由

"Films like Sky Captain and the World of Tomorrow (2004), produced by Job Avnet, and Sin City (2005), based on the graphic novel by Frank Miller, started to be filmed entirely on motion-capture stages, giving filmmakers free rein to superimpose the settings"(Decherney, pp. 119-120).

 

⑦ windfall: 意外な授かり物、たなぼた

"The technical and creative boom created a windfall for the studios"(Decherney, p.121).

 

⑧ enjoin:禁止する

"George Lucas had the video, known as The Phantom Edit, enjoined from circulation" (Decherney, p.124).

 

⑨ surreptitiously: 内密に

"An employee of the talent agency Creative Artists Agency (CAA) joined with experienced filmmakers to surreptitiously make a video blog, or 'vlog,' Lonelygirl15 (2006-2008), showing that professional talent could raise the quality of new internet genres"(Decherney, p.125).

 

Hollywood: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

Hollywood: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

 

 

英単語/英語表現 2017年12月19日

1. infuse ... with ~ 「...を〜で満たす」

"It would be difficult to quantify all of the different ways that home video infused Hollywood with cash and creative  outlets" (Decherney 105).

 

2. entice ... to ~ 「...を〜するようにそそのかす」

"DVDs carried high-quality video and could hold large amounts of cmpressed video, allowing studios to add extra features that enticed viewers to buy and rent them" (Decherney 106).

 

3. incremental 「ますます増加する」

"DVDs may have seemed like an incremental change from VHS tapes, but the higher quality, cheaper prices, and digital formats allowed DVDs to change the culture of movie consumption" (Decherney 107).

 

4. tout 「押し売りする;客引きする」

"The 'whatever whenever' ideak that Sony had touted with its initial Betamax advertisements continued to triumph" (Decherney 108).

 

5. flop 「(劇や映画の)失敗作」

"But Carolco ran out of money during a recession in the 1990s and bet the entire company on a single film: the flop Cutthroat Island (1995)" (Decherney 109).

 

6. coup 「(思わぬ)大成功、大当たり」

"One of their earliest coups was buying the rights to Steven Soderbergh's Cannes and Sundance winnder Sex, Lies, and Videotape (1989)" (Decherney 112).

 

参考文献

Decherney, Peter. Hollywood: A Very Short Introduction. New York: Oxford University Press, 2016.

Hollywood: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

Hollywood: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

 

 

京都大学映画コロキアム「白に引き寄せられるハリウッド――ホワイトウォッシング、アロハゲート、中国的特徴をもったハリウッドのはじまり」の感想

2017年11月17日、香港大学のAaron Han Joon Magnan-Park 氏による講演が京都大学映画コロキアムで開催されたので聞きに行ってきた。題名は以下の通りで、近年のハリウッド映画に見られるホワイトウォッシングや、原作ではアジア人のナラティヴが白人によって乗っ取られていること、さらには中国本土がハリウッド映画の興行収入にとって最大のマーケットに近い将来なっていくことなどについてのお話だった。

 

"Leukocentric Hollywood: Whitewashing, Alohagate, and the Dawn of Hollywood with Chinese Characteristics"

白に引き寄せられるハリウッド――ホワイトウォッシング、アロハゲート、中国的特徴をもったハリウッドのはじまり」

京都大学映画コロキアムの最新情報はこちらから https://sites.google.com/site/kyotofilmcolloquium/home/upcoming-events  )

 

講演で取り上げられた作品は、Aloha (Cameron Crowe, 2015), Doctor Strange (Scott Derrickson, 2016), Ghost in the Shell (Rupert Sanders, 2017), Birth of the Dragon (George Nolfi, 2016)、以上四本だ。それぞれの作品に関する分析は、それぞれが公開された時に映画批評誌やSNSで問題視されていたことのおさらいのような印象を受けたので、あまり新しい情報は得られなかったのが少し残念だった。とりわけGhost in the ShellAlohaの主人公の人種問題については、観衆がある程度の前情報を持っていると前提してもっと深掘りして欲しかった。

 

質疑応答の時間、僕は二つ質問した。一つは、中国本土をマーケットとしたブロックバスター映画の製作・公開について、Magnan-Park 氏がWorld of Warcraft(Duncan Jones, 2016)の成功に言及していたから、映画公開以前から中国本土に存在したゲーム版の人気とプレイ人口と映画成功の関連についてどう分析するかを聞いた。この点に関しては、アメリカ国内と中国での興行やチケット売買の仕組みを引き合いに出しながら、詳しく説明してくれた。

 

もう一つは、セクシュアリティの問題にも共通するが、役者の人種と役柄の人種がマッチすることで担保される(とされる)人種の真正性のレベルは、映画作品の成功に実際どれくらいの影響を与えるのかについて質問した。「難しい質問だ」という返事。セクシュアリティに関しても、おそらく判断は難しいのではないかと僕も思う。この質問に加えて聞いたのは、ホワイトウォッシングやキャスティングの問題を解決するために、映画の研究者や大学院生は今後どういう取り組みを行うべきと提案されるか?と聞いた。この点に関しては、スパイク・リーを例に、コミュニティベースで監督、役者、作品をサポートすることが重要だと考える、と返答があった。

 

最後の点っておそらくすごく重要で、同志社大学の菅野優香先生が映画祭研究を通して提案されていることにも通じている。コミュニティビルディングの大事さ。LGBTを扱う映画に対して、あれはゲイっぽくない、レズビアンぽくない、トランス女性/男性っぽくない、と言うのは簡単だが、作品それぞれが抱える問題を直視しつつ、同時にその作品の良さもきちんと考える必要があると改めて思った。ただし、それは両手放しで何でも褒めるということと同義ではないだろう。

 

 

 

第13回日本映画学会全国大会での口頭発表が決まりました。

 12月9日、京都大学で第13回日本映画学会全国大会が開催される。映画監督アルフレッド・ヒッチコックに関するパネルがあるだけでなく、ヒッチコック研究で著名なD. A. Miller氏の講演がある。

 

 昨年は博論の提出直後で参加は控えたが、今年は僕も発表者として参加する。今回の発表タイトルは「喪失と対峙する─『走れ、絶望に追いつかれない速さで』を一例に」の予定だ。

 

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Miller氏の近著で積読状態のものがあるので講演の前に読んでおきたい。

Hidden Hitchcock

Hidden Hitchcock

 

 

天津へ行ってきた。

 10月27日から30日まで3泊4日で中国の天津へ出張で行ってきた。中国へ行くのは今回が初めてだったのでお金、言語、ネット環境で戸惑うことが多かったが、なんとか生きて戻って来られてホッとしている。

 

 今回の中国出張は第二回東アジア日本研究者協議会への参加が主な目的だった。京都大学の院生を発表者として構成したパネル「震災からの記憶:せんだいメディアテーク『わすれン!』プロジェクト分析」が採択され、僕はコメンテーターとして同席した。発表者それぞれが思うところはあっただろうが、原稿化に向けた改善点も見えたし、全体的にうまく行ったように思う。

 

 天津滞在中、映画館へ行く機会があった。本当は協議会の参加者とともに市内見学を...と考えていたのだが、中国へ来る機会はそうそうないので地元の映画館を訪れることにした。僕が向かったのは天津星輝国際影城。協議会二日目の会場だった南開大学から徒歩40分ほどの市内に位置した映画館で、スーパーマーケットの3階部分にあった。劇場に向かうにはエレベーターに乗るんだが、ガラス張りのエレベーターでけっこう古い印象を受けたので、正直乗るのは怖かった...

 

 『羞羞的铁拳』(Never Say Die, Song Yang & Zhang Chiyu, 2017)と呼ばれる、体が入れ替わってしまった男女が山奥での修行を経て格闘技マッチに挑むというコメディ映画を観た。

 


《羞羞的铁拳》美国加拿大9月29日上映

 

 この映画が挑戦していることに大した新規性はない。ただし、ジェンダーが入れ替わってしまった設定を誇張された演技で伝えることで笑いを巻き起こす、という点では成功していたと思う。中国文化におけるジェンダー観を把握していれば、もっと発見できる点があったのかもしれない。

 

 この映画館へ行って面白かった点が二つある。一つは観客がけっこうな大声で笑うこと。日本の映画館だとコメディ映画を観ていたとしても、クスクスくらいしか聞こえないことが多いが、僕が行った映画館では笑うポイントで観客が一斉に笑っていた。そのおかげで僕も自然に笑えたし、楽しかった。二点目は一点目の延長でもあるのだが、英語字幕と中国語字幕がついていた点。僕が座っていた席からだと、白地で書かれた字幕を読み取るのは正直辛かった。だが、文字は読めなくても大体の話の流れは分かるし、なによりコメディなので、他のお客さんが笑っているポイントで同じように笑えばいい。そうすることで、自分が普段あまり観ることのない国の映画であっても、現地の観客から楽しみ方を教えてもらっている気分がした。

 

 ちなみにこの映画館で困ったことがひとつあった。事前にチケット代(30元)と上映開始時刻を調べていたので、その二点は問題なかったんだが、支払時にどうも値段が合わない。一緒に行った同期と二人で「うーん、なんでや?」と悩んだけど、中国語を話せないし、レジスタッフは英語も日本語も話せないようだったので、確かめることができず消化不良のまま劇場へ。トイレへ行っていた同期が戻ると、両手にジュースを持ち、隣にスタッフがポップコーンを持ってついてきてたので「あー買ってくれたんや」と思ったら、なんと値段が合わないなと思った理由がチケット代にジュースとポップコーン代が含まれていたからだ、ということがようやくその時に分かった。次に行くときはせめて注文くらいは聞き取れるようになってから挑戦したい。

シンポジウムのお知らせ:Cinema and Social Change in Japan

 10月20日から22日にかけて、国際シンポジウム「Cinema and Social Change in Japan」が京都大学で開催される。京都大学白眉センター助教のジェニファー・コーツ氏が主宰を務める。

 

 僕はシンポジウム三日目のパネル「Queer Cinemas」で"Cinematic Responses to Queer Aging"という題目で発表する。僕の発表は、戦後の日本映画から可視化され始めたと言われる「老い」の表象が、俗に呼ばれる「ゲイブーム」がおとずれた1990年代以降の日本映画でどのように描かれてきたか、という話になると思う。

 

 シンポジウムの詳細は、以下のPDF を参照ください。

http://www.hakubi.kyoto-u.ac.jp/eng/00_eve/doc/CSCJ_sympo.pdf

 

 ジェニファーの単著はとても勉強になった。

Making Icons: Repetition and the Female Image in Japanese Cinema, 1945?1964 (English Edition)

Making Icons: Repetition and the Female Image in Japanese Cinema, 1945?1964 (English Edition)