No Rainbows, No Ruby Slippers, But a Pen

本ブログでは研究関連で読んでいる書籍、(新作)映画作品の紹介、日々の考察を中心に共有していきます。また、漫画、アニメ、小説、写真などについても感想などを述べていけたらと思っています。

天津へ行ってきた。

 10月27日から30日まで3泊4日で中国の天津へ出張で行ってきた。中国へ行くのは今回が初めてだったのでお金、言語、ネット環境で戸惑うことが多かったが、なんとか生きて戻って来られてホッとしている。

 

 今回の中国出張は第二回東アジア日本研究者協議会への参加が主な目的だった。京都大学の院生を発表者として構成したパネル「震災からの記憶:せんだいメディアテーク『わすれン!』プロジェクト分析」が採択され、僕はコメンテーターとして同席した。発表者それぞれが思うところはあっただろうが、原稿化に向けた改善点も見えたし、全体的にうまく行ったように思う。

 

 天津滞在中、映画館へ行く機会があった。本当は協議会の参加者とともに市内見学を...と考えていたのだが、中国へ来る機会はそうそうないので地元の映画館を訪れることにした。僕が向かったのは天津星輝国際影城。協議会二日目の会場だった南開大学から徒歩40分ほどの市内に位置した映画館で、スーパーマーケットの3階部分にあった。劇場に向かうにはエレベーターに乗るんだが、ガラス張りのエレベーターでけっこう古い印象を受けたので、正直乗るのは怖かった...

 

 『羞羞的铁拳』(Never Say Die, Song Yang & Zhang Chiyu, 2017)と呼ばれる、体が入れ替わってしまった男女が山奥での修行を経て格闘技マッチに挑むというコメディ映画を観た。

 


《羞羞的铁拳》美国加拿大9月29日上映

 

 この映画が挑戦していることに大した新規性はない。ただし、ジェンダーが入れ替わってしまった設定を誇張された演技で伝えることで笑いを巻き起こす、という点では成功していたと思う。中国文化におけるジェンダー観を把握していれば、もっと発見できる点があったのかもしれない。

 

 この映画館へ行って面白かった点が二つある。一つは観客がけっこうな大声で笑うこと。日本の映画館だとコメディ映画を観ていたとしても、クスクスくらいしか聞こえないことが多いが、僕が行った映画館では笑うポイントで観客が一斉に笑っていた。そのおかげで僕も自然に笑えたし、楽しかった。二点目は一点目の延長でもあるのだが、英語字幕と中国語字幕がついていた点。僕が座っていた席からだと、白地で書かれた字幕を読み取るのは正直辛かった。だが、文字は読めなくても大体の話の流れは分かるし、なによりコメディなので、他のお客さんが笑っているポイントで同じように笑えばいい。そうすることで、自分が普段あまり観ることのない国の映画であっても、現地の観客から楽しみ方を教えてもらっている気分がした。

 

 ちなみにこの映画館で困ったことがひとつあった。事前にチケット代(30元)と上映開始時刻を調べていたので、その二点は問題なかったんだが、支払時にどうも値段が合わない。一緒に行った同期と二人で「うーん、なんでや?」と悩んだけど、中国語を話せないし、レジスタッフは英語も日本語も話せないようだったので、確かめることができず消化不良のまま劇場へ。トイレへ行っていた同期が戻ると、両手にジュースを持ち、隣にスタッフがポップコーンを持ってついてきてたので「あー買ってくれたんや」と思ったら、なんと値段が合わないなと思った理由がチケット代にジュースとポップコーン代が含まれていたからだ、ということがようやくその時に分かった。次に行くときはせめて注文くらいは聞き取れるようになってから挑戦したい。