No Rainbows, No Ruby Slippers, But a Pen

本ブログでは研究関連で読んでいる書籍、(新作)映画作品の紹介、日々の考察を中心に共有していきます。また、漫画、アニメ、小説、写真などについても感想などを述べていけたらと思っています。

2014-01-01から1年間の記事一覧

『ベイマックス』(ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ、2014)についての覚書

『ベイマックス』本予告編 - YouTube ディズニーの最新作『ベイマックス』を観てきた。率直な感想を言えば、エピソードを詰め込み過ぎて、一貫した話の筋立てを組み立てられていない印象を受けた。日本公開版の予告編と実際の映画内容が懸け離れているという…

東京でリサーチ@松竹大谷図書館

12月19日から22日までの間、東京でリサーチを行なった。今回はフィルムセンター、国立国会図書館、早稲田大学演劇博物館、松竹大谷図書館を訪れた。 今回の記事では、松竹大谷図書館でのリサーチについて共有したい。本施設では、2004年以前の資料に関しては…

口頭発表を終えました2014

先週末(12月6日)は、大阪大学で開催された第十回日本映画学会で口頭発表を行なった。 http://jscs.h.kyoto-u.ac.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%98%A0%E7%94%BB%E5%AD%A6%E4%BC%9A%E7%AC%AC10%E5%9B%9E%E5%85%A8%E5%9B%BD%E5%A4%A7%E4%BC%9A%E3%83%97%E3%83%AD%…

『小野寺の弟・小野寺の姉』(西田征史、2014年):向井理の演技について思うこと

映画「小野寺の弟・小野寺の姉」予告編 - YouTube 西田征史監督・脚本の『小野寺の弟・小野寺の姉』(2014年)が本日から公開されている。公開初日、映画館で初回を観てきたのだが、姉弟を演じる片桐はいりと向井理のやりとりに心温まる作品だ。映画が終わる…

『グレース・オブ・モナコ 王妃の切り札』(オリビエ・ダアン、2013)

Grace of Monaco - HD Main Trailer - Official Warner ... 1950年代を代表するハリウッド女優グレース・ケリーは人気女優の座を降り、モナコ公国の公妃となった。アメリカを離れ、女優として生きたハリウッドを離れ、国を救うためにグレース・ケリーが成し…

『ヒックとドラゴン』(How to Train Your Dragon, 2010)について

ドリームワークスによって2010年に公開された『ヒックとドラゴン』(How to Train Your Dragon, Chris Sanders and Dean DeBlois)について、今学期の映画学の授業で考察が始まった。 'How to Train Your Dragon' Trailer HD - YouTube 前期は『アナ…

DC1の海外渡航に関する注意メモ

今回は日本学術振興会特別研究員DC採用中の海外渡航について。 8月から国際日本文化研究センターで開かれている日本映画の研究会にオブザーバーとしているのだが、そこで知り合った先生方と海外留学について話をする機会があった。映画学は欧米で発展した学…

新しい論文を発表しました。

ホーム・ムーヴィーに関する修士論文の第三章を改稿した論文を発表しました。 CineMagaziNet! no.18 Yutaka Kubo The Function of the Semi-Private Sphere in Home Moviemaking and Exhibition 私的空間と公的空間という二元論的な空間の枠組みに当てはまら…

参考文献を整理する。

博士論文執筆に向けて私が一番気をつけようと考えていることは、資料整理をしっかりするということ。修士論文執筆の際、コピーした参考文献を積み重ねたり、バラバラのファイルに入れてしまい、引用したい時になると毎回机中を探していた。作業効率が非常に…

映画『STAND BY ME ドラえもん』

"Doraemon should never be made into 3D." This was my first thought when I saw the trailer of STAND BY ME Doraemon in February. And now I regret that I had ever thought that way. This movie will make you laugh through tears. 映画『STAND BY …

映画『GODZILLA』(2014)

「GODZILLA ゴジラ」予告3 - YouTube 公開中の『GODZILLA』(ギャレス・エドワース、2014)を観てきた。TOHO CINEMASへ映画を見に行くたびにずいぶん前から予告編が流れていたこともあり、ずっと気になっていた作品。 今日は映画1100円の日だったので、…

第四回深草町家シネマ:若い映画観客にとっての「懐かしさ」の欠如

昨夜は第四回深草町家シネマに参加してきた。龍谷大学深草キャンパスへ行くこと自体が初めてだったので、そういった意味でもワクワクしながら会場へと足を運んだ。 表題にもあるように、深草町家シネマは今回で四回目を迎えた。写真を撮り忘れたが、風情溢れ…

映画『マレフィセント』(2014):おでこにキスでもキスはキス(*ネタバレあり)

ロバート・ストロンバーグ監督の『マレフィセント』(Meleficent、2014)を3D・DOLBY-ATMOSで観てきた。1959年公開のクライド・ジェロニミ監督による『眠れる森の美女』に登場する「魔女」マレフィセントを中心人物とし、マレフィセントが王女オーロラにかけ…

7月10日購入書籍リスト

幸い、今年度から研究奨励費を頂いている。これにより、研究に必要だと思われる書籍を自由に購入できるようになった。書籍を公費で購入すること自体は今日が初めてだったから、レジでの手続きに少し戸惑ったが無事に購入、検収を終えた。 From this school y…

映画の色について:木下恵介『カルメン故郷に帰る』

富士フイルムが国産カラーフィルムの発明に勤しんでいたころ、日本映画監督協会は押し寄せる外国カラー映画の情勢に立ち向かう術を考える必要にせめられていた。そこで、富士フイルムから国産カラー映画の製作を持ちかけられた時、当時理事であった小津安二…

映画の色について:テクニカラー、アグファカラー、フジカラー

木下恵介『カルメン故郷に帰る』(1951)に関する先行研究を読んでいると、映画の色について面白い比較があったので以下にまとめてみたい。 戦後、日本で最初に公開されたアメリカのテクニカラー映画は、ウォルター・ラングの『ステート・フェア』(1945)である…

メモ:夏休み中のリサーチ

博士後期課程での研究も三ヶ月が過ぎた。この期間で残念ながら一本も論文を書くことは出来ていないが、今後の研究の方向性は見えてきている。この夏休み中は資料集めをするために、下記の二つの場所へ行ってみたいと考えている。 1. 木下恵介記念館 http://w…

Postwar Japan in Film: final week

今週でやく2ヶ月半同社大学で開講されていたスタンフォード大学のプログラムが終了した。よって、Postwar Japan in Filmも今回が最後の授業となった。 残念ながら今週は議論をする枠はなかったのだが、今回は木下恵介の『二十四の瞳』(1954年)を観た。戦…

「将来リーダーになる君へ 専門外の専門書を読む」@京都大学附属図書館ラーニング・コモンズ

今日の午後は京都大学附属図書館ラーニング・コモンズで開催された「将来リーダーになる君へ 専門外の専門書を読む」というプログラムに参加してきた。 京都大学附属図書館と京都大学学術出版会による共同プログラムで、京都大学名誉教授の佐藤文隆氏、東京…

フランス語:冠詞と定冠詞

フランス語初等クラスを受講してから早くも二ヶ月が経ち、段々と難しくなってきた。復習の意味も込めて、このブログでもフランス語について書いていこう。 まず、英語とは違い、フランス語の名詞は男性(masculin)と女性(féminin)に分かれ、それぞれ単数…

Postwar Japan in Film: 8th week

"Postwar Japan in Film"の第八週目授業では、周防正行『Shall we ダンス?』(1996年)を通して、1980、1990年代の特に団塊世代のサラリーマンブルーや趣味について議論した。 映画の予告編はこちらから。 Shall We Dance? (1996) trailer - YouTube 2004年に…

Postwar Japan in Film: 7th week

"Postwar Japan in Film"の第七週目授業は、伊丹十三『マルサの女』(1987年)を取り上げて、「この映画に登場するヒロインはどのようにして誕生したのか」という問いを中心に議論した。 『マルサの女』を未見の方はこちらから。 マルサの女 ー 伊丹 十三 - …

Postwar Japan in Film: 6th week

今週の"Postwar Japan in Film"の授業は、森田良光の1983年作品『家族ゲーム』(すばる文学賞を受賞した本間洋平の原作は1981年発表)を取り上げて、戦前から戦後にかけての日本の教育システムの変化、そして1980年代、1990年代における教室という空間の変化…

Postwar Japan in Film: 5th week

同志社大学で開講されている"Postwar Japan in Film"も今週で5週目を迎えた。四週目にあたる週は、僕はサンフランシスコへリサーチに行っていたため参加することが出来なかったが、土本典明監督の『水俣 - 患者さんとその世界』(1971年)を上映した。GWのた…

リサーチinサンフランシスコ:UCBとPacific Film Archive

4月27日から7泊9日でサンフランシスコにてリサーチを行なってきた。サンフランシスコに行くのは今回が初めてだったため、もっと事前調査が必要なこともたくさんあったと反省している点もあるが、全体的にとても良い経験になった。 Fisherman's Wharf近くのイ…

サンフランシスコへ

明日、4月27日から指導教官と後輩と三人で一週間サンフランシスコへリサーチのために行く。 アメリカへの旅行は、三年前に東海岸へ行って以来。マサチューセッツ州で過ごしたほぼ6年の間、西海岸へ行く機会はなかったので、今回のリサーチが決まった時はとて…

Postwar Japan in Film: 3rd week

"Postwar Japan in Film"第三週目は、小津安二郎の『お早よう』(1959年)の感想を中心に、戦後日本におけるホワイトカラー中流階級(middle-class)のconsumerismとmidle-class consciounessについて議論した。1955年以降、日本の経済成長期に日本家族にとっ…

Postwar Japan in Film: 2nd week

"Postwar Japan in Film"の第二週二回目の授業は、今村昌平『豚と軍艦』(1961年)の感想を中心とした議論を行なった。1945年から1952年まで続いたthe Occupationの後、日本映画は戦後日本社会における日本人とアメリカ人をどのように表象したのか。 授業で…

今村昌平『豚と軍艦』(1961)

今日は同志社大学にて"Postwar Japan in Film"の第二週一回目の授業を受けてきた。今週から月曜日は映画を見て、火曜日はディスカッションをする。その第一回目として、今日は今村昌平監督の『豚と軍艦』(1961)を視聴した。 Pigs And Battleships | Trailer …

フランス語学習を始めました。

博士後期課程では第三外国語としてフランス語を勉強しようと決心し、昨日から京都大学の一回生向けに開講されているフランス語初等レベル授業の聴講を始めた。 日本映画研究をしているのになぜフランス語なのか。英語に加えて新しい言語も学びたい!という気…