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No Rainbows, No Ruby Slippers, But a Pen

本ブログでは研究関連で読んでいる書籍、(新作)映画作品の紹介、日々の考察を中心に共有していきます。また、漫画、アニメ、小説、写真、絵画などについても感想などを述べていけたらと思っています。

「キャンプとゲイの感受性について」Part 1("Camp and the Gay Sensibility" p.40-41)

レズビアン・ゲイ・クィア研究 映画 論文

レズビアン・ゲイ・クィア映画に関する文献を読んでいると、「キャンプ(camp)」という言葉をよく見かける。このキャンプと一緒に「ゲイの感受性(the gay sensibility)」という言葉も頻出するが、「ゲイの感受性」とは一体なんのこっちゃという反応があって当然だと思う。今度の勉強会で、Jack Babuscioの"Camp and the Gay Sensibility"という論文について話をするので、今回から数回に分けて本論文を読んでいきたい。

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"Camp and the gay sensibility"

 

この論文におけるBabuscioの目的は、個々の映画作品、スター、映画監督がゲイの感受性を表す幾つかの方法を熟考することである。その探求を遂行するために、Babuscioは具体的に以下のような目標を挙げている。

 

  • キャンプのより簡潔な定義を示すこと
  • キャンプとゲイネスの関係性を確かめること
  • ゲイの感受性を促進する幾つかの社会的パターンとメカニズムを考えること
  • 従来見過ごされてきた映画の側面に関する議論を鼓舞するために、上記の考察を映画と関連づけること
  • ゲイの間における団結とより強大な自己同一化の感覚を奨励すること
  • 私たちが映画の中に見るものは真実でも現実でもなく、作りごとであることを読者に思い出させることーー個人の主観的な知覚による世界とその住人の認識であること
  • 私たちの多くが許容するよりも、芸術にはより多くの面白さがあり、その逆も可能であると議論すること

 

The gay sensibility ゲイの感受性/感性

Babuscioは、ゲイの感受性を主流とは異なる意識を反映する創造的エネルギーとして定義する。社会的抑圧から派生した人間精神の複雑さの強度な自覚ーー要するに、ゲイネスによって彩られ、形成され、そして定義された世界の見方である。そのような世界の見方は、特定の状況下の特質に対応して時代や場所によって変化する。今日の社会は人々を明確なタイプに分別されていると定義する。そのような標識付け手法は、個々のタイプが分極化されることを保証する。これらのカテゴリーに属する人々のために、「自然」や「正常」とされる性質の補足物が与えられる。このゆえに、異性愛は正常、自然、健康的な行動で、同性愛は異常、不自然、不健全な行動が分極化される。このような分極化のプロセスにおいて、この世界がどのようなもので、またそれとどう向き合うかについての見方と理解が発展する。ゲイにとって、そのような反応のひとつがキャンプである。

 

Camp キャンプ

キャンプという用語は、人、状況、あるいは活動における、ゲイの感受性を表す、あるいはそれによって作られた要素を描写する。キャンプはけっしてモノや人自体ではなく、むしろ活動、個々人、状況とゲイネスの関係性である。キャンプを有する人々(たとえば、キャンプ意識にある意味責任のあるバズビー・バークレーなど)はゲイである必要はない。ゲイネスとの関連は、人あるいはモノのキャンプ的側面がゲイの感受性によって見極められた時に構築される。すべてのゲイがキャンプに対して平等に反応したり、あるいは、何を含むか強調するかについて、我々のコミュニティーにおいて絶対的な総意が簡単に達せられると言っているわけではない。さらに、キャンプは見る人の視点に主として存するけれども、誰かや何かに特徴的なキャンプの趣を与える見方の潜在的な統一がゲイの間に取り残されている。次の四つの特徴がキャンプにとって基本であるーー皮肉(irony)、審美主義(aestheticism 唯美主義が適当か?)、演劇性(theatricality)、そしてユーモア(humor)である。

 

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次回はironyから。私が使っている論文はGays and Filmに所収されているが、以下の書籍にも所収されている。

Queer Cinema, The Film Reader (In Focus: Routledge Film Readers)

Queer Cinema, The Film Reader (In Focus: Routledge Film Readers)