No Rainbows, No Ruby Slippers, But a Pen

本ブログでは研究関連で読んでいる書籍、(新作)映画作品の紹介、日々の考察を中心に共有していきます。また、漫画、アニメ、小説、写真などについても感想などを述べていけたらと思っています。

2020.11.01

 映画が1100円の日だったので、朝から二本続けて観てきた。一本目は、土井裕康監督の『罪の声』だ。小栗旬星野源がダブル主演で、塩田武士の小説を原作としている。小説自体も実際にあった未解決事件から着想を得て書かれたものらしい。予告編で見かけた時から気になっていた作品だったので、公開後すぐに観られたのは嬉しい。142分と少し長めかな?と事前に思っていた通り、「そこはカットしてもいいのでは?」と思う描写も数カ所あったけれど、一冊のサスペンス小説をうまく映像化していると思った。小栗旬演じる新聞記者と星野源演じるテイラー。本作は記憶・記録がとても重要で、事件に関わる一つ一つの証拠が解き明かされていくのが楽しい。その際、体、文字、声がもつ記憶・記録をつなぎ合わせる媒体として仕立て(テイラー)、新聞、書店、カセットテープなどが効果的に用いられていると思った。あと、学生運動が実際のフッテージだけでなく、こういう形で再現されるようにもなってきたのかという新しい発見もあった。

 


映画『罪の声』予告【10月30日(金)公開】

 

 もう一本は三木孝浩監督の『きみの瞳が問いかけている』。横浜流星吉高由里子が主演で、横浜は人に言えない過去を背負って生きてきた24歳の青年、吉高は大学生の頃の事故が原因で視力を著しく失った二十代くらいの女性を演じている。青春映画に関する研究調査を行なっているため、こういう作品も見ないといけないなぁと思って急いで観に行ったのだけれど、今回のははっきり言って駄作だと思った。三木監督はたくさんの青春映画を2000年代後半から撮り続けているが、今回のはいろんな話を詰めすぎていてまとまりがない。2005年の『NANA』を契機に始まったとされる「キラキラ青春映画」は人気のある少女漫画や恋愛小説をベースにしているからこそ売れてきたのだが、今回のは韓国映画『ただ君だけ』(2011)という作品をリメイクしたらしい。韓国映画がどれくらい売れたのか知らないが、今回の作品はどうやら「キラキラ青春映画」の系譜ではないのかもしれない。そうすると、宣伝の仕方があんまりうまくないのではないかとも考えたが、実際どれくらいの興行収入になるのかデータが出てみないと判断できない。

 


【公式】『きみの瞳が問いかけている』吉高由里子×横浜流星 恋愛映画史を涙で塗り替える、最高純度のラブストーリー/10/23(金)/本予告