No Rainbows, No Ruby Slippers, But a Pen

本ブログでは研究関連で読んでいる書籍、(新作)映画作品の紹介、日々の考察を中心に共有していきます。また、漫画、アニメ、小説、写真などについても感想などを述べていけたらと思っています。

くぼっち、免許取るってよ

 7月5日、石川県運転免許センターで普通自動車免許をゲットしてきた。39歳にして初めての運転免許ーーちなみに原付免許は持っていたーーを手にし、昨夜は一人で祝杯をあげた。最初の車は擦ったりしても涙を流さないような価格帯の車にしようと思っているが、車探しするのにとってもワクワクしている。

 

 なぜ運転免許を取ろうと思うに至ったのか。その背景には大きく3つの理由がある。

 

 一つは、日常生活における行動範囲の拡大である。金沢へ越してきてそろそろ4年が経とうとしている。自宅と大学の往復が日常の軸にあり、北陸鉄道バスで通勤している。幸い大学では安定した職を得られているものの、今後北陸での生活をもっと深めていくためには、車社会において車はやっぱり必要だと痛感した。バスや電車で向かった有名な観光名所以外、石川県内や他の北陸地域を見て回ることもあまりなかったし、手頃なスーパーなどへのアクセスも良くなるだろうから、日常生活をより豊かにするためにもと思い、免許取得を決意した。

 

 二つ目は、最初の理由と関わっていて、行動選択肢の制限への抵抗である。要するに、北陸鉄道が牛耳っている石川県内、特に金沢市内の公共交通機関の持続性をいつまでも信用していられない。言い換えた方が長くなってしまった。金沢市内のバスにはJRが運営しているものもあるんだが、金沢駅に到着したら分かるように、基本的に北鉄バスの縄張りである。僕が金沢へやってきた頃、つまりコロナ禍の状況がまだまだだ現在よりも酷かった頃、金沢大学への往復のバス本数が減ったと聞く。少しずつ本数は改善されているらしいが、通勤ラッシュ時のバス運行状況に改善がまっっっったく見られない点に段々腹が立ってきたのだ。早朝の金沢駅の人混みはひどすぎる。自分ところの縄張りなんだったら、ちゃんとそこで住む/働く人たちの快適さ向上に努めんかい。そういうイライラが募り、北鉄バスなんぞに自分の行動選択肢を制限されてなるものかと思い、免許取得を決意した。

 

 最後の理由は、親世代の介護を実感する年齢になったことだ。家族との関係はちょいと複雑で面倒なのでここでは詳細を省くが、親世代がだんだんと高齢者、後期高齢者へとなっていくなかで、もし今後何かあったときに車は欠かせないと思ったからだ。僕の出身地である徳島は石川以上に車社会だから、これからの将来設計を組んでいく過程で行動手段の選択肢を広げる必要性を痛感した。いざというときに発生しうる面倒臭さを先読みしてなんとかしておきたいと思い、免許取得を決意した。

 

 この3つの理由の他にも小さな理由はいくつかある。例えば、行きつけの美容院の美容師さんが独立することになり、少し離れた場所にお店を開くことになったから、とか、映像撮影するのにロケ地を探したい、とか。学生たちと高級イタリアンや高級中華へ行っても、夜遅くまで話せるようになる、とか。あと映画館もそうね。行きたいです、深夜の映画館。同僚からも免許取得に向けて背中を押してもらい、自宅から一番アクセスの良さそうな教習所を探し始めたのが今年の3月だった。

 

 僕が通った教習所は「大徳自動車学校教習所」だ。金沢駅からのアクセスはそんなに悪くないし、送迎バスのおかげで通うのも辛くない距離にあった。それと、他の教習所も今はそうなんだろうけど、コロナ禍を経て学科教習がほぼ全てオンラインで受講できる点をは大きかった。あと、職場の学生たちと出会う確率が少なそうな教習所だった点は捨てがたかった(ほなって恥ずかしいやん)。

 

 教習所の申し込みをしたのが4月6日で、実際に入所したのが4月17日。免許を取り終えたのが7月5日だから、ちょうど3ヶ月で免許を取得できた。GW中は教習所も1週間休みだったり、僕も出張が重なっていけない時期が重なったりしたけど、この期間でMT免許が取れてとても嬉しい。

 

 教習所で卒業までにかかった料金は、最初に支払った315,800円(普通MT車、ネット割)と写真代の600円を合わせて、316,400円になった。意地でもこの料金以上に追加で支払いたくなかったから、1コマ550円かかる夕方以降の教習は受けないようにしたのと、2回の効果測定および修検・卒検を絶対に一発合格することを自分に課していた。ちょうどこの頃に自宅で使っていたメインのPCが壊れてしまい買い替えたから、余計な出費は控えたかった。僕が17、18歳だった頃に免許をとっていればもっと安かったんだろうけど、現在の思考力や理解力、あとマリカーの技術がなかったから一発合格できた自信はないから、これで良かったと思うことにしている。

 

 教習所での体験はおおむねすごく楽しかった。このおっさんしばいたろか?と思う人にも2人当たったけど、ほとんどの教官が丁寧な感じだった。ただ、運転は感覚でやることも多く、教官と教官の間で教えてくれる内容が違ったりで、その差をどうやって埋めながら運転するかが面倒だったけど、まぁ勉強にはなったと思う。卒研では第一段階のときに一度だけ一緒に乗っただけで、それ以降、第二段階ではまったく乗り合わせなかった教官が試験担当だった。卒検を受けた後にもらったフィードバックでは、「減点はしなかったけど、久保くんはマニュアル操作の根本的なことが一切分かっていない」と言われてしまい、「いやいや、こっちは他の教官が教えてくれたことに従って運転してますけど」と一言だけ突き刺して、あとは大人しく結果を聞くことに徹した。今もそんな納得できていない。

 

 あと気になった点では、教習中に教官も話すことがないからだろうけど、「久保くんは結婚していないの?」と男性教官から聞かれることがすごく多かった。超面倒くせぇ!と思いながら、「してないですね〜。教官はどうですか? 結婚生活うまくいってないんですか?」と結婚生活がうまくいっていない前提で聞いたら、大体黙ってくれていた。教習所と異性愛規範に関する研究ってないんだろうか。あとでJ-StageとCiNiiで検索してみよう。

 

 3ヶ月教習所へ通ってみて、何か新しいことを学ぶのってやっぱり楽しいなと思えたのが大きな収穫だった。うまく運転できなかったときは、教習所に行くのが億劫で、朝ごはんに食べていた卵かけご飯を吐きそうになったことが何度かあるんだけど、うまくなりたい!という一心で続けて良かった。もちろん、何かを続けるには経済的かつ精神的な余裕が必要だなとも痛感した。研究職は貯金ができるようになるまでかなりの時間がかかる場合があり、僕も経済的な余裕が長年なかったのもあって、免許を取る日がまさか来るなんて思っていなかった。ここからどれだけ運転が上達できるかはわからないが、安全運転を心がけて、楽しくドライブできるようになりたい。運転がうまくなったら、映画館の跡地などに直接出かけていって、北陸の映画文化史について研究やれたらいいなーと思っている。

 

 次は何の免許を目指そうかな。わくわく。

 

追記:「なんでMTなん?」と教官に聞かれることが多かった。なんでMTか?って、ガチャガチャできてかっこいいからだよ!!!!